2012/02/21

留学総括(その2)

留学総括の続き。(その1はこちら


AfDBでインターンしていた頃チュニジアにて。


インターン
インターンについてはまず第一に、探すこと自体に意味があったのだと、今考えれば思う。いわゆる就職活動のようなことをフランスで行ったので、CVやLettre de motivation(カバーレター)の書き方から、面接対策まで学ぶことができた。そして何より勉強になったことは、正攻法では全くダメで(返信すら来ない)、コネなり裏技なりを使わないと難しいということ。教授や授業に来てる講師に頼んで面接まで行かせてもらった企業はいくつかあったけど、(AfDBを除いて)正攻法で書類審査を通過したところは一つもなかった。とはいえ、特にコネがあったわけではないAfDBにインターンとしてとってもらえたのはかなりラッキーだった。

AfDBでのインターンは、お手伝いだったということもあり、技術的に難しいということはなかったけど、実際のプロジェクトマネジメント・意思決定・援助に関する交渉がどのように行われているかを知ることができ、そこに内在する問題にも少し触れられた。


学位について
このプログラムの売りはなんといっても、東大・ENPCの双方に正規課程で在籍して双方の学位をもらえること。問題なくいけば、東大は修士、ENPCはエンジニアリング学位(修士相当)がもらえる。

でも実は、最近は学位をもらうということにどれくらい意味があるんだろうか?と思うことが多くなってきた。てかむしろ、今となって振り返れば、学位そのものよりも、学位を取るための課程であったということが結果的にかなり良かったと思う。
つまり、

1.学位という明確な最低限の目標(あくまで最低限。当然学位がゴールではない)
2.正規課程に在籍しているので、不当な扱いを受けない
3.強制的に授業を網羅的に受けさせられ、インターンも必修
4.私のもらっていた奨学金の受給要件を満たせる(聴講生は不可)

これらの点が良かったと思う。実際、学位がこの先どう評価されるのかはOn verra.(そのうちわかるだろうから、その時に見てみよう)


野球
フランスでは野球のクラブチームに所属していた(以前の記事とそのコメント欄を見てちょ!)。
野球をやったことによって、グランゼコールに来てるような一部の特殊なフランス人ではないフランス人や(主に南米系の)移民の人たちと知り合えたのは、自分の中のフランス人像を矯正してくれたかなと思う。あと、コーチがアメリカ人ということもあって、なんだかアメリカ流な野球の取り組み方を知れて、興味深かった。


友人作り
この先も長い付き合いになりそうな友達はそれなりにできたんだけど、今考えれば(特に寮に住んでいたときに)もっと学校の飲み会に参加したり、もっとたくさんパーティーを開いたりして、もっと交流の機会をもてたよなぁと思う。まぁ実際問題振り返ってみると、復習・宿題・疲れはけっこうあったから、あれでもよくやった方とも取れなくないけど、ブラジル人やスペイン人のようにもっとうまくメリハリつけれたと思う。

あと、その仲の良い友人の多くが外国人(スペイン人・中国人・イギリス人・イタリア人etc.)で、周りにいた人数を鑑みると一緒に飲みに行ったりするレベルのフランス人の割合はさほど多くなかった。これはやはり、自分がフランス人コミュニティに食い込んでいく力のなさだと思う。

とはいえ、この留学でできたいろんな国の友達を今後とも大事にしていきたい。


いつも少数派であるということ
この点は、前回の記事でも書いた。でも、敢えてもっと感情ベースで素直に言うと、少数派ってこんなに辛いんだと思った。そして、そういう辛さって自分はこれまであんまり味わってこなかったなぁと。これは、自分の日常の立ち居振る舞いベースにも影響するテーマであると同時に、大多数の利益の方がごく少数の不利益より大きかったらそれは良いとしがちな経済学的なものの見方(当然一概にはそれが経済学的な見方とは言いませんが)にも一石を投じるテーマであるので、この率直な感想を心にとめておきたいと思う。


自分・生き方
なんだか、フランスの個人主義というか、それぞれが我が道を行くのを目の当たりにして、あんまり周りにどう思われるかとか気にしすぎず、自分の信じてることをやっていく生き方ってのを模索していこうかなと思った。当然、人に迷惑をかけちゃいけないし、フランスで「もっと他人のこと考えて行動しろよ」って思うことは多々あって、そういうのは真似すべきじゃないと思う。でも、なんていうか、こうしたら他人にすごいって思ってもらえるかな?的な発想がほとんどない点は見習いたいなって思う。正直に言えば、周りにどう思われるかって自分は気にし過ぎなんだと思う。でも、自分は自分の価値観を持てばいい、そんなの当たり前だし、表面的な他人の評価なんてどうでもいい。そういう足かせを外して、夢に向かって大胆な生き方をしていきたいと思った(超抽象的やけどw)。そしてそういう生き方はきっと、しんどくて刺激的で楽しいんだろーなー!!


最後に
いつも、普通に学部で就職した場合より3年遅れるんだということを自分に言い聞かせながらやってきた。正直、3年分の機会費用に見合うだけ勉強をし、悩み、友好関係や視野を広げられたんだと言って自分を納得させる自信がない。でもまだ3年目の最後の1年がある。この自信のなさを糧に最後の東大での1年を頑張ろうと思う。

あと、留学生活やってこれたのは、いろんな角度から支えてくれたみなさんのおかげです、これはマジで。
一番は家族に感謝。ことあるごとに気にかけてくれたし、何か必要なものがあったらすぐ送ってくれたし、郵便物をスキャンして送ってもらったりもした。
あと、日本にいる友達ね。(特に始めの方)くじけそうになったときでも、「まぁうまく行かなくても日本には居場所あるよ」っていう安心感はなんだかすごく精神的な支えになった。これは本当に大きかった。
あと、当然だけど、こっちの友達(日本人・フランス人・外国人問わず)にも本当に感謝。一緒に遊んだり・飲んだり、愚痴を聞いてもらったり、励ましあったり、情報共有したり。

最後の最後に・・・留学も終わりかけになって少し落ち着いてきてふと省みてみると、いつも支えてもらってばかりなのに、そのことに見向きもせずに自分のことばかり考えている自分がいたので、今後は支えてくれる人に少しずつ恩返しできるような生き方をしていきたいと思います。

以上!

2012/02/20

留学総括(その1)

約2年にわたるフランス留学生活ももう終わり。そこで、得たこと・感じたことの総括を書こうと思う。


ENPCの入り口にて。



海外である程度やってけるという自信
英語も仏語もまだまだやけれども、海外でやっていけるという自信はある程度ついたと思う。はじめの頃は、異文化・異言語の人たちに混ざって物事を進めていくということに不安があったけど、今はだいぶなくなってきた。ただもっと言えば、特別何か自信がついたというよりも、留学生活やAfDBでのインターンなどを通して、海外でやっていくことのイメージがついてきて、漠然とした不安がなくなったということかもしれない。どちらにせよ、これは自分の将来の選択肢を広げるという点では良かったと思う。


日本人としてのアイデンティティ
海外に滞在する人の多くがこれを感じると思うけど、俺もその一人。主にフランスをはじめとする、自分と異なる価値観・文化に触れて、自分の軸足が日本にあるんだと強く感じた。そして、世界の中の日本の役割というものを強く意識するようになった。自分個人としては、今後日本がどのような社会を創っていくかは国際社会に大きな影響を与えると思うし、そんな新しい日本社会のモデルを模索するために貢献していきたいと強く思うようになった。

それから、自分が日本について知らなさすぎるとも痛感した。日本のことについて聞かれて、答えられないこともいっぱいあった。日本に帰ったら、日本のことを勉強しなおすと同時に、国内のいろいろなところへ旅行したい!


比較対象のひとつとしてのフランス
日本とも英米とも違うというフランスの社会や考え方を知れたのはよかったなと思う。自分の中では、ポスト先進国型社会のモデルはヨーロッパにあるかも?という漠然とした期待をもってフランスに来たし、必然的に授業でもフランスのことを勉強するので、フランス社会を多少なりとも知ることができた。とはいえ(かなり乱暴な議論だと思うけど)もはや、日本が目指すべき社会モデルがフランスにあるだなんて毛頭思ってないけど、フランス社会を勉強することで、例えば、働くことの意義や、移民受け入れや、労働生産性の議論などについての一つの見方が得られたのは間違いないと思う。


経済について
経済が好きになった。こんな書き方をしたら、「お前は効用とか社会的厚生関数で人の幸せが測れるとでも思ってるんか!」とか言われそうだけど、そういう意味じゃない。僕は人間が経済合理的に行動するとは思わないし、この価値観が多様化した社会でそういう傾向はもっと強くなっていくと思ってる。そういう話ではなくて、単純に経済って言うものを勉強することが楽しいし、もっと知りたいって思えるようになった。専門書でも新書でも考えながら楽しく読めるし、議論するのも楽しい。なんていうか、野球に取り組んでるときのような感覚みたいな感じかな?たぶんこれは、経済に関する体系的な基礎がついたからなんだと思う。来る前までは、開発経済学と空間経済学を研究室で勉強した程度だったから、かなり偏ってたもんなぁ。

そいで、それの何が成果かっていうと、自分の描いてるものに対するアプローチとして経済っていう切り口でやっていきたいと素直に心から思えるようになったってこと。


経済学(学問として)
講義のレベル的には修士相当の割には特別高いわけではなくて、学部上級と修士の間くらいな気がする。ただ、それなりのレベルで、かなり網羅的にやったというのが良い点。「××経済学」と言われるものはほとんどやったし、金融・会計・経営・持続可能な開発(環境)・交通etcといった分野もだいぶカバーしたと思う。やはり、理系のグランゼコール、つまり大学レベルの数学の受験競争に勝ってきた生徒を対象としている分、数学的説明をはしょれる分だけ講義が進みやすいんだろう。あと、そもそもグランゼコールは(研究者育成ではなく)実務者育成を目的としてることから、難解で高度な理論を扱うというよりは、実務で使えるような学問的背景と論点を体系的におさえておくことに主眼が置かれてるんだろう。

とはいえ、強いて言うなら、マクロの上級をほとんどやらなかったところ(動学マクロとかもうちょっとちゃんとやりたかった)と、開発学みたいな授業がほとんどなかったのが個人的には残念。なので、より高度な経済・金融理論については、東大で授業を取ろうと思う。


語学
フランス語については、おそらくそれなりに伸びたんだと思う。目標にしてたDALF C1を受かったという点では合格点かな。フランス人の中に混ざって一緒にグループワークとかやったりして、時にみんなの言ってることがわかんなかったり、自分が喋っても「お前何言ってんのかわかんね」的な感じの惨めな思いをしたりして、悩んで勉強して・・・という繰り返しが、今考えれば一番自分のフランス語を伸ばしてくれたと思う。そういう意味では留学生の少ない専攻でよかったと思う。

ただ、いまだに小手先のテクニックで話してる感がある。ちょっとでも専門外の話をしたり、ホントにくだらない話をリラックスして話したり、フランス人の議論に混ざってついていったり・・・ってのは、まだまだできない。

英語については、もっと勉強できたかなぁとも思う。やっぱり、英語が喋れるという上で仏語もイケるというのが自分のあるべき姿やと思うし。とはいえ、ラッキーなことにAfDBのインターンのボスが仏語話者ではなく、ほぼネイティブの英語話者だったことで、そこで少しトレーニングできたのはよかった。でも、逆に言えばそこで自分の英語のできなさを痛感したので、今年は徹底的に英語を鍛えていきたいと思う。


つづく

2012/01/14

多数派・少数派

書くのをすごくためらっていたんだけど、まぁいっかと思って書くことにした。
去年、同じ専攻に留学生がほとんどいない中で勉強してるときにずっと思ってたこと。


まず、
privilegedな環境の中で、多数派で同質な人間同士が群れることの愚かさ。
(privilegedって言っても、正確には本人たちがprivilegedと過信してるだけだけど)

そういうところにいれば、エラそうな議論をし、自分の意見は受け入れられ、前提や価値観を共有でき、とても心地よい。でも、少数派異分子という立場からそういう集団を見て、それでホントに大丈夫なんだろうか?って思った。
言ってしまえば、自分の考え方がフランス人学生たちにことごとく受け入れられなかったことに対するエゴな反感にすぎないのだけれども、そういうとこでぬくぬくしていたら、どんどん違った考え方を受け入れることができなくなってくんじゃないか?って思った。
そして、そういうとこにいる人間が、官僚とか経営者とかになって、社会のマイノリティや、非熟練労働者として働く人間の気持ちがわかるんだろうかと。閉塞感を打破するような革新的なアイデアを思いついたり、進展するグローバル化の中で国際人としてやっていけるのかと。

これは別にフランス人の学生を批判したいわけではなくて、問題はむしろこれが僕に思いっきり当てはまるということ。東大にいて、価値観の合う友達と、国のために××したいとか、語り合うことに満足して・・・。自分ってなんてダサいんだろうかと思った。


一方で、少数派としての自分の至らなさも痛感した。
こっちの学校でいっぱい知り合いはできたけど、その中でもしょっちゅう連絡をとったり遊んだりして仲良くしてる友達の多くは留学生(スペイン人・中国人・イギリス人・イタリア人etc.)。もちろん、フランス人で仲いい子もいるが、周りにいた人数や常に仏語を話してることを考えると、想像してたよりはるかに少ない。

たしかに、フランス人の方が仲良くなりづらかったのは、彼らが群れていたというのもある。実際、フランス人同士でもEcole Polytechniqueから来た学生(約4割)と、もとからENPCの学生(5割強)との間ですら混じらないというのも事実。

でも、本質的な問題は、僕には相手の文化や習慣を理解しようとする姿勢が欠けてたということ。
(学部生ほど若くなく)大学院生としてきたのだから、必ずしもこっちの文化に過度に同化せずに、自分がいいと思うところだけ吸収して、悪いと思うところはマネしないでおこうと強く思ってきた。でも、その考えに逃げ道を見出してた。たとえば、困ってる人を助けないのはフランスの文化の悪いところなんだと捉えて思考停止してた。彼らは個人的な関係を築けばめちゃくちゃ親切にしてくれるし、そもそも個人的な関係を築くためには、どんどん腹を割ってというか、自分の思ってることをガンガン積極的に話してく必要がある。

そういうのを棚に上げて、相手のせいにしてたと思う。
ちょっと自分はこれに気づくのに時間がかかり過ぎたのかもしれないけど、少なくとも今は相手のことを知ろう・理解しようという気持ちを持って接することで、フランス人はじめいろんな人と話すのが格段に楽しくなった。


まぁ、どっちの視点で見ても、自分の改善すべき点は明らかなのであって、
もっといろんな人と交わり、いろんな価値観に触れたいと思う次第であります。

2011/11/30

ENPCに見るフランス理工系グランゼコール教育の特徴

フランスの理工系グランゼコールでの教育の特徴は
「エリート主義」「実践型」「数学」の3つだと思う。
(グランゼコールとは何かについてはWikipediaを見てちょ!)


特徴1:エリート主義
フランス社会は日本よりも断然、学歴主義。グランゼコール出身なのか大学出身なのか、リセ(高校)の後にバカロレアを取ったか否かなどで、どの程度の職につけるか、どの程度のポストまで上がれるかがだいたい決まると言えると思う。
なので、グランゼコールの卒業生の多くは将来、企業の経営に携わったり高級官僚になると言われていて、グランゼコールではそういうポストに就くことを前提にカリキュラムが組まれている。
具体的には、授業がとても実践的(後述)であるということや、(少なくともENPCでは)会計やマネジメント・コミュニケーションなどの授業が専攻によらず全員に必修であること、ある程度の知識があることが前提であることなど。
また、授業でも「キミたちは将来、マネジメントに回るのだから、この点は覚えておいた方がいい」と言った語り口をする先生も多い。


特徴2:実践型
授業ではほとんどの場合、理論だけをやるではなく、理論の応用まで勉強する。つまり、学んだ理論が実際の問題を解決しようとするのにどう役に立つかまでを勉強する。
なので学期の後半になってくると、コンピューターを使った数値シミュレーションを行う機会が増えてくる。
また、授業を行う先生は、各分野の専門家や企業で働いてる実務家が授業をすることがほとんどで、現場で働く人と直にコミュニケーションをとれるようになっている。
それから、インターン(仏語:stage)は必修であることが多い。少なくともENPCでは全員必修。それも多くの場合は長期で、日本のインターンのように単純作業を超低賃金でやるアルバイト以下のようなものではなく、技術系なら企業の技術部門や研究部門に入ったり、経済系なら企業の戦略部門や財務部門に入って、専門的な仕事を行うのが普通。


特徴3:数学
授業の理論編では、日本より数学を多用することが多い気がする。それも、なんだか抽象的な数学理論をひっぱり出してきて、強引に解く。
日本(たぶんアメリカとかでもそう)ならば、問題を解釈して、それにあった一番直感的にわかりやすい(簡単な)方法で解くことが多いと思うけど、
フランスでは「受験で純粋数学をみんなやってるから数学は共通言語みたいなもんだし、多少複雑になったって最終的にはコンピューターでシミュレーションするんだし良くね?」的な発想な気がする。
(なので理論だけやられると、カオスw)
なので、数学が高度だからというか、そのアプローチの違いに留学生は始めけっこう苦しむ。


こんなとこでしょうか。文系グランゼコールだとまた違うんだろうなぁ~。
社会全体としてエリート主義が良いか悪いかはcontroversialなことだと思うけれども、
個人としては、外国から来てこういう密度の高い教育を受けさせてもらう分には来て良かったと思う。



ちなみに、ENPCの卒業生の初任給(年収)は平均4万ユーロ強で、一番多い業種は金融機関らしいです。


注:主にENPCでの自分の経験と聞いた話をベースに書いちゃってるので、他の学校では違うって点があったら指摘してもらえると嬉しいです。

2011/10/15

第3学期(最終学期)の履修

ENPCでの最終学期が始まった。
今学期はこの留学生活の中で最もゆとりのある学期になりそう。というのも、言葉のハンデかかなりなくなった上に、先学期までの2学期間で学位取得要件にかなり近づいたからだ。

■ENPCでのエンジニアリング学位(修士相当)の取得要件
1.専門科目の単位を3学期間で100単位
2.語学科目の単位を3学期間で16単位
3.インターンシップ(短期or長期)
4.TOEIC 750点以上
5.卒業研究(東大での修士論文で振替可能)

先学期までに、専門科目を72単位・語学を17単位取得することができ、夏はAfDBで短期のインターンシップを行うことができたことで、残りフランスでやる分は専門科目28単位だけとなった。さらに、9月の集中講義(3週間)で6単位取得できているはずなので、実質22単位の取得ですむ。

なお、経済・ファイナンス専攻の他の学生は国内の他の大学や海外の大学でこの第3学期を行うことが一般的なので、うちの専攻には第3学期用の授業がほとんどない。しかし、僕は東大の方に2月末に戻らなくてはならい関係で、他の大学で第3学期をやることが実質できないので、今学期は主に、"交通・環境・都市"専攻の授業と、"持続可能な開発と交通"という別のコースの授業を取ることになった。


■月曜日
午前:交通工学 (Ingénierie du trafic) 4単位
数学をがんがん使って、交通量とかを分析する授業。統計や確率は去年苦しんだ分自信がついたので、それらをバンバン応用していくのは気持ちがいい! ただ"(数学者じゃなくて)エンジニア"だからという理由で、たまに先生の解答がご都合主義的なのが個人的には気に入らないのだが・・・。

午後:Development / War by other means? 2単位(語学)
ENPCに来てから初めてとった、"語学の授業としての"英語の授業。アジアの経済成長を扱うという話だったんだけど、授業計画見てみたら日本と中国の経済成長の話で9割以上やった(笑)
ちなみに、英語の代わりにスペイン語を取ろうか迷ったんだけど、スペイン語の再開は英語・仏語の2つをもう少し定着させてからにしようと思い断念。

夕方:プロジェクト・ファイナンス(Financement de projet) 4単位
主にインフラ関連のプロジェクトをどのようにファイナンスするかという授業。講義のほかに、数値シミュレーション・ロールプレイング・実務者による講演などがあって、授業内容は充実してそう。


■火曜日
念願の や す み (キタコレ)


■水曜日
午後:持続可能な開発とコーポレートガバナンス
(Développement durable et gouvernance d'entreprise) 2単位(後期のみ)
後日追記予定。


■木曜日
午前:気候変動(Changement climatique)3単位(後期のみ)
気候変動といっても、経済分析をやると書いてあったので、水文学的な授業ではない模様。
後日追記予定。

午後:集合的行動としての環境問題
(L'environnement comme problème d'action collective) 2単位(前期のみ)
11月始まりなので、後日追記予定。


■金曜日
午前:数字の力(Le pouvoir des chiffres) 3単位
社会学系の授業。統計数字に関する、見方・見せ方・難しさ・不確実要素etc.を議論する授業。なかなか面白そう。

午後:ロジスティクスと交通についての考え方とその活用
(Conception et exploitation des systèmes logistiques et de transport) 4単位
ロジスティクスとそのマネジメントについての授業。あまり技術的なところには踏み込まずに、むしろマネジメントに力を入れて授業をするみたい。


■集中講義(11月に1週間)
International Business Strategy, 3単位(MBA)
MBAの授業なので英語で行われる。去年これをとった友達がかなりよかったと言ってたのでとった。楽しみ。



自分としてはもっとファイナンスの授業を取りたかったのだが、いろいろな制約があって取れなかったという事情もあり、余った時間は、フランス語の資格と金融の資格の勉強にあてたいと思う。

2011/08/31

インターン終了!

先日、2ヶ月強のアフリカ開発銀行のインターンを終えた。いい機会なので、ちょっとまだまだまとまってない&あんま具体的なことは書けないけど、軽くここに雑感を書いておこうと思う。


■アフリカ開発銀行(AfDB)について

使用言語は主に英語か仏語。プロジェクト(の対象国)によって使い分ける。仏語話者はけっこう多いけど、思ったより英語だけ(とはいえ母国語としてアラビア語とかできちゃう人も多いけど)の人も多いんだなと思った。世界中からいい人材集めようと思うと当然か。ただ資金力のある世銀が東アフリカをはじめとする英語圏でactiveなので、仏語圏というのがAfDBにとっては重要な守備範囲みたいやった。

AfDBはもちろんアフリカ人が多くて、アフリカ出身で欧米の大学院で勉強した人がほとんどやった。

あと、AfDBでの日本人はここ1年くらいでかなり増えた模様。
数年前まで日本人はほとんどいなかったみたいだけど、ここ1年くらいでかなり増えていまは10人くらい。うち公的機関からの出向が半分、職員・ヤングプロフェッショナルなどでの直接の採用が半分くらいで、分野もさまざま。インターンに限って言えば、日本人は僕が数年ぶりみたい(当然1人)やったけど、韓国人はコンスタントに4人くらいいた。恐らく政府がやってるプログラムかなんかなんだろうけど、日本でも同じようなことやればよいのにと思ってしまった。


■インターンの仕事について
ボスは英語話者だったので仕事は英語やった。主に交通関係のあるプロジェクトの経済分析や制度・近年の援助動向の文献調査なんかを手伝わせてもらった。運よくミッション(視察)にも連れていってもらえてカウンターパートとの意見交換などが聞けてよかった(そしてその打ち合わせで正直びっくりすることがたくさんあった)。

あと、他のプロジェクトの雑用とかも手伝わせてもらって思ったのは、アフリカの場合はプロジェクトの必要性は明らかである場合が多いので、細かいこと言ってないでどんどん案件形成して実行に移してくっていうフェーズなのかなということ。たぶんアジア開発銀行とかだとメンバー国が発展してきて、プロジェクトの事後評価に基づいた補足的なプロジェクトの実施とか、ノレッジバンクへの移行とか、政府間協力のイニシアティブとかそういうことをやってるんじゃないかと思うのだけれど。


■感じたこと
やっぱ自分は(たいした分析やってないけど)分析するのがけっこう好きなのかもと思った一方で、自分に一番欠けてるのは説得する力だなと思った。そして説得力欠如の問題は、言語・引き出し(経験・知識量)・癖の3点かと。

ひとつは言語の問題。英語にしても仏語にしても特にしゃべるスピードをもっと上げたい。

あと引き出し。想像力を働かせて論理的に説明するというのは当然必要なのだけれども、実際のところどうなりそうかは知識や経験での裏づけがどうしても必要なんだと思った。常にアンテナ張って情報を仕入れていなくては。

あとは自分の癖。おれはどうしても話しながら「いやでも、こういう反論もあるから必ずしも言い切れないよな」とか考えちゃうのが、悪い癖というほど悪くはないかもやけど、説得するという観点ではあまりよくない気がする。見かけ上は自信満々に振舞っておきつつ頭のなかで反論への反論を考えるとかできた方がスマートやよなー。


んー、なんか内容薄っぺらいなwww まだ自分の中で結論付けられてないことも多いし、今日はこれくらいにして、また少しずつ書き足していくことにしよう。

2011/06/21

フランス語学習 中級

今日は、僕が今まで実際に使ってみたり、情報収集したり、本屋で立ち読みしたりして得た経験に基づいて、フランス語の中級レベルの参考書や勉強法のおススメを紹介しようと思う。


■基礎固め(中級の話の前に入門について)
基本的に入門書はどれも変わらないと思うし、学生なら学校のテキストでまず十分だと思う。だけど、それと平行してやるのに個人的におススメなのはなんと言ってもNHK語学講座のラジオの方(まいにちフランス語)。内容は充実してるし、毎回音声を聞いて自分で発音するというのがかなり良い。さらに、最近はネットでストリーミングで聞けるから、以前のように特定の時間にラジオで聞く必要はない。しかも、毎日少しずつというのは語学学習においてかなり大事。


ここからが本題の中級。

■文法の練習問題
解説が詳しいフランス文法問題集 白水社
中級レベルの文法問題集。その名の通り、解説がくわしくてよい。この本は以前このブログでも紹介した。

■単語帳
仏検 準1級・2級必須単語集 白水社

僕が一番困ったのは単語帳。中級レベルの仏語単語帳って多くのが、ただ単語を並べましたってやつばかりで、なかなか使いやすそうなのが見つからなかった印象。
でもこの単語帳は、ある程度の基礎のある人にとってはかなりいい本だと思う。構成は、毎章、短い文章が1ページ、日本語訳と文法確認が1ページで、文中に出た新単語とその派生語・類語が2ページとなってる。全40章。速読英単語みたいな感じかな。重要な単語を押さえてくれてるし、文章がついてるから単語が頭に入って来やすい気がする。僕は渡仏前はこれで語彙を増やしつつ、CDをipodに入れて聞き取りの練習をしてた。

■聞き取り
聞き取りの練習には、フランスのラジオ局やテレビ局のサイトを使うといいと思う。特に以下の2つは、ネットで聞けて、内容に関する問題(質問)と解答がついてて、さらにスクリプトまでついてるという優れもの。ある程度フランス語を勉強したよって人にはかなりいいトレーニングになると思う。

tv5のenseigner le françaisの7 jours sur la planète

rfiのlangue française


■会話
もしこれを読んでくれてる人が大学生とかなら、キャンパスでフランス人見つけて話すのは絶対タメになると思う。僕も今学期、フランス人との交換レッスンをやったけど、発音や自分のよくやる間違いを直してもらうにはこれが一番。

■その他
フランス語らしく書く―仏作文の考え方 白水社
この本はフランス語作文をするときに迷いそうなことを解説してくれてる。ただ、学習本というよりは読み物という感じで、電車の中とか暇なときに第一部を読んでおくと仏作文をするときにすらすら書けるようになると思う。(ただ、第二部はマニアックすぎる気がする)


こんなとこでしょうか。また思いついたら書き足そうと思います。
最後に、フランス語の本の紹介なので白水社の本が多くなっちゃいましたが、僕は白水社の回し者ではないのでご安心をww