2011/11/30

ENPCに見るフランス理工系グランゼコール教育の特徴

フランスの理工系グランゼコールでの教育の特徴は
「エリート主義」「実践型」「数学」の3つだと思う。
(グランゼコールとは何かについてはWikipediaを見てちょ!)


特徴1:エリート主義
フランス社会は日本よりも断然、学歴主義。グランゼコール出身なのか大学出身なのか、リセ(高校)の後にバカロレアを取ったか否かなどで、どの程度の職につけるか、どの程度のポストまで上がれるかがだいたい決まると言えると思う。
なので、グランゼコールの卒業生の多くは将来、企業の経営に携わったり高級官僚になると言われていて、グランゼコールではそういうポストに就くことを前提にカリキュラムが組まれている。
具体的には、授業がとても実践的(後述)であるということや、(少なくともENPCでは)会計やマネジメント・コミュニケーションなどの授業が専攻によらず全員に必修であること、ある程度の知識があることが前提であることなど。
また、授業でも「キミたちは将来、マネジメントに回るのだから、この点は覚えておいた方がいい」と言った語り口をする先生も多い。


特徴2:実践型
授業ではほとんどの場合、理論だけをやるではなく、理論の応用まで勉強する。つまり、学んだ理論が実際の問題を解決しようとするのにどう役に立つかまでを勉強する。
なので学期の後半になってくると、コンピューターを使った数値シミュレーションを行う機会が増えてくる。
また、授業を行う先生は、各分野の専門家や企業で働いてる実務家が授業をすることがほとんどで、現場で働く人と直にコミュニケーションをとれるようになっている。
それから、インターン(仏語:stage)は必修であることが多い。少なくともENPCでは全員必修。それも多くの場合は長期で、日本のインターンのように単純作業を超低賃金でやるアルバイト以下のようなものではなく、技術系なら企業の技術部門や研究部門に入ったり、経済系なら企業の戦略部門や財務部門に入って、専門的な仕事を行うのが普通。


特徴3:数学
授業の理論編では、日本より数学を多用することが多い気がする。それも、なんだか抽象的な数学理論をひっぱり出してきて、強引に解く。
日本(たぶんアメリカとかでもそう)ならば、問題を解釈して、それにあった一番直感的にわかりやすい(簡単な)方法で解くことが多いと思うけど、
フランスでは「受験で純粋数学をみんなやってるから数学は共通言語みたいなもんだし、多少複雑になったって最終的にはコンピューターでシミュレーションするんだし良くね?」的な発想な気がする。
(なので理論だけやられると、カオスw)
なので、数学が高度だからというか、そのアプローチの違いに留学生は始めけっこう苦しむ。


こんなとこでしょうか。文系グランゼコールだとまた違うんだろうなぁ~。
社会全体としてエリート主義が良いか悪いかはcontroversialなことだと思うけれども、
個人としては、外国から来てこういう密度の高い教育を受けさせてもらう分には来て良かったと思う。



ちなみに、ENPCの卒業生の初任給(年収)は平均4万ユーロ強で、一番多い業種は金融機関らしいです。


注:主にENPCでの自分の経験と聞いた話をベースに書いちゃってるので、他の学校では違うって点があったら指摘してもらえると嬉しいです。

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