2012/02/20

留学総括(その1)

約2年にわたるフランス留学生活ももう終わり。そこで、得たこと・感じたことの総括を書こうと思う。


ENPCの入り口にて。



海外である程度やってけるという自信
英語も仏語もまだまだやけれども、海外でやっていけるという自信はある程度ついたと思う。はじめの頃は、異文化・異言語の人たちに混ざって物事を進めていくということに不安があったけど、今はだいぶなくなってきた。ただもっと言えば、特別何か自信がついたというよりも、留学生活やAfDBでのインターンなどを通して、海外でやっていくことのイメージがついてきて、漠然とした不安がなくなったということかもしれない。どちらにせよ、これは自分の将来の選択肢を広げるという点では良かったと思う。


日本人としてのアイデンティティ
海外に滞在する人の多くがこれを感じると思うけど、俺もその一人。主にフランスをはじめとする、自分と異なる価値観・文化に触れて、自分の軸足が日本にあるんだと強く感じた。そして、世界の中の日本の役割というものを強く意識するようになった。自分個人としては、今後日本がどのような社会を創っていくかは国際社会に大きな影響を与えると思うし、そんな新しい日本社会のモデルを模索するために貢献していきたいと強く思うようになった。

それから、自分が日本について知らなさすぎるとも痛感した。日本のことについて聞かれて、答えられないこともいっぱいあった。日本に帰ったら、日本のことを勉強しなおすと同時に、国内のいろいろなところへ旅行したい!


比較対象のひとつとしてのフランス
日本とも英米とも違うというフランスの社会や考え方を知れたのはよかったなと思う。自分の中では、ポスト先進国型社会のモデルはヨーロッパにあるかも?という漠然とした期待をもってフランスに来たし、必然的に授業でもフランスのことを勉強するので、フランス社会を多少なりとも知ることができた。とはいえ(かなり乱暴な議論だと思うけど)もはや、日本が目指すべき社会モデルがフランスにあるだなんて毛頭思ってないけど、フランス社会を勉強することで、例えば、働くことの意義や、移民受け入れや、労働生産性の議論などについての一つの見方が得られたのは間違いないと思う。


経済について
経済が好きになった。こんな書き方をしたら、「お前は効用とか社会的厚生関数で人の幸せが測れるとでも思ってるんか!」とか言われそうだけど、そういう意味じゃない。僕は人間が経済合理的に行動するとは思わないし、この価値観が多様化した社会でそういう傾向はもっと強くなっていくと思ってる。そういう話ではなくて、単純に経済って言うものを勉強することが楽しいし、もっと知りたいって思えるようになった。専門書でも新書でも考えながら楽しく読めるし、議論するのも楽しい。なんていうか、野球に取り組んでるときのような感覚みたいな感じかな?たぶんこれは、経済に関する体系的な基礎がついたからなんだと思う。来る前までは、開発経済学と空間経済学を研究室で勉強した程度だったから、かなり偏ってたもんなぁ。

そいで、それの何が成果かっていうと、自分の描いてるものに対するアプローチとして経済っていう切り口でやっていきたいと素直に心から思えるようになったってこと。


経済学(学問として)
講義のレベル的には修士相当の割には特別高いわけではなくて、学部上級と修士の間くらいな気がする。ただ、それなりのレベルで、かなり網羅的にやったというのが良い点。「××経済学」と言われるものはほとんどやったし、金融・会計・経営・持続可能な開発(環境)・交通etcといった分野もだいぶカバーしたと思う。やはり、理系のグランゼコール、つまり大学レベルの数学の受験競争に勝ってきた生徒を対象としている分、数学的説明をはしょれる分だけ講義が進みやすいんだろう。あと、そもそもグランゼコールは(研究者育成ではなく)実務者育成を目的としてることから、難解で高度な理論を扱うというよりは、実務で使えるような学問的背景と論点を体系的におさえておくことに主眼が置かれてるんだろう。

とはいえ、強いて言うなら、マクロの上級をほとんどやらなかったところ(動学マクロとかもうちょっとちゃんとやりたかった)と、開発学みたいな授業がほとんどなかったのが個人的には残念。なので、より高度な経済・金融理論については、東大で授業を取ろうと思う。


語学
フランス語については、おそらくそれなりに伸びたんだと思う。目標にしてたDALF C1を受かったという点では合格点かな。フランス人の中に混ざって一緒にグループワークとかやったりして、時にみんなの言ってることがわかんなかったり、自分が喋っても「お前何言ってんのかわかんね」的な感じの惨めな思いをしたりして、悩んで勉強して・・・という繰り返しが、今考えれば一番自分のフランス語を伸ばしてくれたと思う。そういう意味では留学生の少ない専攻でよかったと思う。

ただ、いまだに小手先のテクニックで話してる感がある。ちょっとでも専門外の話をしたり、ホントにくだらない話をリラックスして話したり、フランス人の議論に混ざってついていったり・・・ってのは、まだまだできない。

英語については、もっと勉強できたかなぁとも思う。やっぱり、英語が喋れるという上で仏語もイケるというのが自分のあるべき姿やと思うし。とはいえ、ラッキーなことにAfDBのインターンのボスが仏語話者ではなく、ほぼネイティブの英語話者だったことで、そこで少しトレーニングできたのはよかった。でも、逆に言えばそこで自分の英語のできなさを痛感したので、今年は徹底的に英語を鍛えていきたいと思う。


つづく

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